「脱帽」と「割り切り」。日本代表の10番・香川真司が語ったUAE戦 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「脱帽」と「割り切り」。日本代表の10番・香川真司が語ったUAE戦

落とせない一戦で勝利したハリルジャパン。現代サッカーを模索するなかで10番が見せた表情

守備でハードワークできなければ出られない

 香川は密集であればあるほど、その怖さを増す。

「今日はサイドバックも相手のカウンター攻撃に気を配るため、あまり攻撃参加できなかった。だけど、少ない人数での速い攻撃は今、このチームの一番の強みになりつつある。そこは割り切ってやるしかない。ただ、カウンターだけでなく、遅攻する時間帯も必要なのかなって思っています」

 2010年のワールドカップ南アフリカ大会でベスト16へ進出した日本代表。当時若手と呼ばれた選手たちは、ブラジル大会へ向かうとき、「南アフリカ大会のような“守ってカウンター”という戦術では、日本に未来はない」と、ポゼッションサッカーを自らのスタイルに掲げた。
 しかし、ブラジル大会で惨敗。この大会ではスペインやブラジルでなく、ドイツが優勝している。すでに世界サッカーのトレンドは、優雅さや魅せることよりも、迫力と堅実性へと変わりはじめていたのかもしれない。

 それでも、日本代表は大会後にメキシコ人監督を招集し、ポゼッションサッカー追及を試みたが、アジアカップでの敗退で更なる傷を負うことになる。スペイン人は自身の汚職問題もあって、日本を去り、やってきたのがハリルホジッチ監督だった。先のワールドカップでアルジェリア代表を率いて、ベスト16入りを果たしている。パスサッカーが得意だったチームに堅守速攻を根付かせたのがハリルホジッチだったのだ。

 この監督人事は、日本代表のサッカーの変革を意味していた。代表チームの主力にはポゼッションサッカーで強みを発揮する選手もすくなくない。香川もそうだろう。UAE戦でも守備に奮闘したが、自身の輝きをピッチで見せられたとはいえなかった。

「(守備をするのは)最低限のことだと思います。今のサッカーがそういうサッカーなので。そこでハードワークできないと、試合に出られないと思うので、そこは割り切ってやる必要があると思います。代表には代表のやり方があり、スタイルがあります。それは監督が決めることなので。僕たちはそれを徹底しなくちゃいけない。監督のサッカーを信じてやるのが、僕たちが生きる道だと思っている。ましてやこういうサッカーは僕たちに必要なことだと、思っている。自分自身にもすごく良い経験としてプレーできています」

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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